あやしうこそ物狂ほしけれ。

つれづれなるまゝに、
日ぐらし硯に向かひて、
心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、
あやしうこそ物狂ほしけれ。
　　　　　　　　　　　　　　—『徒然草』序段

梅雨の恋が終わり
兼好さんと状況は違えども
私もつれずれなるまゝに。

日ぐらしテレビに向かいて、
心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなくザッピングすれば、
あやしうこそ物狂ほしけれ。

あぁこのままジッとしていてはいけない。

「そうだ海を見に行こう。」

愛車にまたがり荒川へ・・・・

スタートは河口から１５キロ地点。
自転車ならゆっくりペースで１時間くらい。
あっという間に

１１キロ地点。物狂ほしさはまだ消えない。

１１キロ地点から見える綾瀬排水機場。
綾瀬排水機場は度重なる大洪水から葛飾地域を救ったヒーローらしいよ。
　
綾瀬排水機場　「お前のことは救ってやらん、とっとと河口へ向かえ。」
　
わたし　「最初から頼る気はなかったかんね！」
　
どこか冷たく見えるのはわたしの心せいか。ちなみに対岸は金八先生のオープニングで使われている土手です。あのムチムチオシリの金髪外国人に挨拶される日がいつ来ることか。
　
さて
河口をめざします。
走りだして３０分をすぎたあたりで頭の中は
「河口ってどんな感じなんだろう」
「キレイなのかな」
「新しい出会いがまってるかな」
「出来れば伊藤歩みたいな人がいいな」
河口のハードルは上がります。

１１キロ走りいい感じに汗だくです。もう物狂ほしさはなくほどよい疲労感で爽快です。
河口まで４キロ地点にボートレース江戸川がありました。

ボートレースって競艇ですよね。一度も行ったことがないけど近頃ＣＭでよくみるあれでしょ。
南さんにどの色を選ぶ？って聞かれ、条件反射というか性というか、男子学生が雑誌を見て「いっせーの、これ！」と好きなタイプを指して己のアイデンティティーをしめす様なあのＣＭ。でもいつも南さんの質問が出ると、自分なら…えーっと…どれも同じ…いや小さな違いがあるはず…赤は活発…緑はエコ…黄色は…ってやってるうちにＣＭが終わり毎回悲しい気分になります。女の子の顔が同じに見えてしまう様なアンテナになってしまったのか！

せっかく爽快だったわたしの心を「悪鬼ーニャ」はかき乱していった。
さて走ります。
途中、何台かすれ違う自転車乗りたちに挨拶をします。
ここまで来ると海の香りがします。懐かしき母なる海よ今いくぞ！
そしていよいよ
　
　

到着。
河口０キロ…ん？
海はどこに…？

東京の海に砂浜はないんだ。
　
つれづれなるまゝに、
日ぐらし海に向かひて、
心にうつりゆくよしなしごとを忘れるため自転車を走らせたが、
あやしうこそ物狂ほしけれ。